採用シーンでのアンマッチ・ミスマッチとは?その内容と原因・改善策を徹底解説!

採用シーンでのアンマッチ・ミスマッチとは?その内容と原因・改善策を徹底解説!

「なかなか応募が来ない」

「応募が来ても希望に合う人材ではなかった」

「採用してもすぐに辞めてしまう」

 

などの経験がある採用担当者の方は多いのではないでしょうか。

 

企業が人材を採用する際、できる限り避けたいのが「採用のアンマッチ・ミスマッチ」です。

 

企業と求職者との間で、認識やニーズのズレが生じてアンマッチ・ミスマッチが起きると、そもそも人材が確保できない、採用できたとしてもモチベーションや生産性の低下を招きやすい、早期離職による人材の流出に繋がるなど、企業にとってマイナスの影響を与えてしまいます。

 

そのため、企業の採用担当者はこの原因に向き合い、解決に取り組んでいくことが採用活動をするうえでとても重要です。

 

そこで今回は、あくまで自社で改善することができる原因とその対策をお伝えします。

 

求人広告を出してもなかなか成果に繋がらない採用担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

アンマッチ・ミスマッチとは?

アンマッチ(unmatch)とは、一致しないこと・組み合わせができない状態のことです。

 

これを採用シーンに置き換えると、募集段階でいえば応募が来ない状況、面接段階でいえば企業と求職者のお互いの条件が一致せず、採用そのものが成立していない状態のことを指します。


 

一方、ミスマッチ(mismatch)とは、組み合わせたうえで合っていない状態のことです。

 

つまり、面接段階では "マッチしている" と判断し採用したものの、いざ業務を開始すると、企業が求めていたスキルと採用者のスキルが合わない、または、採用者が認識していた業務内容と違っていたなど、採用後に発覚するズレのことを指します。

 

【 アンマッチとミスマッチの違い 】

先述のアンマッチ・ミスマッチの言葉の意味で言うと「組み合わせできているか、できていないか」という点に大きな違いがあります。

 

そのため、採用シーンでのアンマッチ・ミスマッチとは、「採用しているか、していないか」で線引きされることが多いです。

ミスマッチは、不一致が起きていることに気づかないまま採用が進められた結果、企業側と採用者側のどちらか、または双方が不満を抱えてしまうことです。

 

一方で、アンマッチは、不一致が起きていることに最初から気がついているため、その時点で採用まで至りません。

 

これらのことから、「不一致である事実」や「その理由や程度」が明確になっている点でも違いがあります

 

アンマッチが起きる原因

各プロセスごとに、問題点とその原因を解説します。

募集段階でのアンマッチ

(1)募集要項が厳しすぎる

募集要項の必要な経験やスキル・資格、給与などに関して、企業側の希望条件が厳しすぎると、求人募集を出してもなかなか応募者が現れないなど、アンマッチになる原因のひとつと考えられます。

 

例えば、


・対象が少ない希少な経験やスキルを必須条件にしている

・給与面が、地域または職種の相場よりも低い条件になっている

 

といった点が挙げられます。

 

(2)求人広告の見栄え(文章構成)が良くない

求人広告の見栄えや文章構成によって、企業の魅力や強みが半減してしまっている可能性があります。

 

求人広告は、企業と求職者を繋ぐためのスタート地点であり、求職者を惹きつけるような見栄えや文章構成が重要です。

 

しかし、その点がうまくいっていない場合、他社との比較で負けてしまうなど、応募に繋がらないケースがあります。

 

(3)求人媒体が合っていない

求人媒体とは、求人広告を掲載するメディアのことで、紙媒体(新聞広告や折込チラシ、フリーペーパーなど)とWEB媒体(求人サイトなど)がありますが、自社の求める人物像にあった求人媒体を選択できていないと、アンマッチとなる可能性があります。


例えば、「若い人材を採用したい」時に、『折込チラシ(紙媒体)』を利用した場合、その地域に『求職中の若い人材がほとんどいない』としたら、「そもそも採用したいと思える人材がいない地域に求人広告を発信していた」ということになり、典型的なアンマッチと言えます

 

このように、利用している媒体が適切でなければ、母集団形成(自社に興味を持つ求職者の集団(母集団)を集め、整った状態に形作る活動(形成))ができず、「応募が来ない」「採用まで至らない」さらには「必要以上のコストをかけてしまう」といった事態に陥ることがあります。

 

面接段階でのアンマッチ

(1)求人広告の掲載内容に情報不足や差異がある

求人広告に記載するべき情報が不足していたり、募集内容や企業情報などが本来の内容と異なっている場合、アンマッチの原因になることがあります。

 

求職者は、求人広告から仕事内容や労働条件、企業が求めている人物像などの情報を得て、その企業と自身の希望やスキルが合っているかを照らし合わせて応募しています。

 

しかし、求人広告から得られる情報が少ないと、企業の希望条件が求職者には伝わりきらず、応募した後の面接段階で双方の認識やニーズにズレがあることが明らかとなり、「思っていたイメージと違う」というすれ違い状態から応募辞退に繋がってしまうのです。

 

(2)採用の評価基準があいまい

自社の採用基準があいまいで明確でないことも、アンマッチが発生する原因だと考えられます。

 

面接官は、履歴書や職務経歴書だけではわからないことを、面接という短い時間の中で確認し、見極めなくてはなりません。

 

しかし、自社の採用基準が定まっていないまま面接を行うと、面接官によって評価基準にバラつきが出てしまい、自社が本当に求めている人材を不合格にしてしまうケースも考えられ、せっかくマッチする人材を獲得できるチャンスを逃してしまう可能性があるのです。

 

ミスマッチが起きる原因

次に、採用した後に起きる問題点と、その原因を解説します。

採用後段階でのミスマッチ

(1)面接段階で、自社の良い部分しか伝えていなかった

自社の魅力をしっかりと求職者へ伝えることはもちろん重要ですが、「良い部分のみ」を強調してアピールすると、ミスマッチが起こる確率も高くなってしまいます。

 

求職者は、企業の良い部分ばかりを聞き期待を膨らませて入社しますが、入社して初めて大変に感じる部分を目の当たりにすることになり、その結果、そういった部分を伝えられていなかったという不信感や期待とのギャップから、早期離職につながってしまうことがあります。

 

(2)入社後すぐのフォローが不十分

入社前(面接時など)では、採用担当者や直属の上司としか話す機会がないことが多く、入社して初めて先輩や同僚と顔合わせをすることも珍しくありません。

 

そもそも、入社前に顔合わせなど、多くの時間を割くこと自体が難しい企業の方が多いのではないでしょうか。


そういった理由で、職場の環境や雰囲気、人間関係などは入社してから知ることが多いです。

したがって、入社直後の段階で、フォロー体制やコミュニケーションが不十分な場合、「人間関係が合わないのではないか?」「環境が合っていないのではないか?」といったミスマッチを感じ、早期離職へと繋がる恐れがあります。

 

アンマッチ・ミスマッチが企業に与える影響

アンマッチ・ミスマッチは、企業と求職者の双方にとって大きなデメリットを生み出します。

 

アンマッチが発生することで、応募が来ないだけではなく、求職者からの応募直後の辞退や面接後の選考辞退などが発生し、企業は求める人材の確保ができないまま採用コストだけがかかってしまいます

 

また、ミスマッチが発生することで引き起こされてしまうことは、早期離職です。

 

早期離職が起きると、採用者を教育するために使っていた時間や、生み出されるはずだった生産性も失うことに加え、改めて採用活動を行わなければならないなど、さまざまな手間やコストの損失が発生します。

 

一方で、早期離職が起きていない状態だったとしても、ミスマッチを感じた社員は、働くモチベーションが低下してしまい、十分な成果が出せないなど、業務効率やパフォーマンスが落ちてしまう原因にもなります。

 

そして、周りの社員にもマイナスの影響を与えてしまい、社内全体のチームワークの乱れや生産性の低下に繋がる恐れもあります。

 

アンマッチ・ミスマッチを防ぐためには?

ここでは、アンマッチ・ミスマッチを防ぐために、企業が意識するポイント・改善策を紹介します。

募集要項の見直し・市場情報の調査をする

まずは、採用市場の動向や求職者のニーズと、自社の希望条件との間で、どのくらいギャップが生じているのかを確認することが大切です。

 

どの程度のスキルの人材がどういった条件で募集されているかなど、他社の募集状況を把握し、なぜギャップが発生してしまうのかを探ることで、改善点が見つかる可能性があります。

 

そして、その結果を踏まえ、自社が求める経験やスキルの条件緩和を検討したり、給与面とのバランスを見直すなど、ある程度の折り合いをつけることがポイントです。

 

また、希望する条件にマッチする人材がいない場合は、即戦力となるスキルや経験ばかりにこだわらず、長い目で見た人材育成も検討し、ポテンシャルがある人材を採用することもひとつの改善策です。

 

求人掲載内容の見直し

求人情報の内容は、できるだけ詳細まで記載する必要があります。

 

具体的にどのような業務をするのか、どのようなスキルや経験が必要なのか、どんな成果や評価が得られるのかなど、業務に関する詳細な情報やキャリアパスを明確にするような内容を掲載することがポイントです。

 

その際に重要なのは、求職者ファーストの視点で「求職者が本当に必要としている情報」を掲載することです。

 

また、作業風景や職場環境などを撮影した画像や動画を掲載することで、文字だけでは伝わり切らない多くの情報を、わずかな時間で具体的に伝えることができます。

 

なお、自社の採用サイトを制作することも「自社が求める人材を獲得し、採用すること」に効果的です。

 

採用サイトには、先輩社員の働く様子や業務の魅力などを届けられる社員インタビューなどのコンテンツを掲載できるため、競合他社との差別化や、求職者のミスマッチの防止、応募率アップ、採用の効率化などさまざまなメリットがあります。

 

▶関連記事|【採用担当向け】採用サイトとは?その重要性や活用するポイントなどを解説!

 

自社の求める人物像から求人媒体を選ぶ

原因のセクションでも説明した通り求人媒体には、紙媒体とWEB媒体の2種類があります。

 

そのため、自社が求める人物像を明確にした上で、求人媒体を選ぶことが大切です。

例えば、「地元の人材を求めている」場合は、地域に根ざした求人情報誌(紙媒体)を活用することで、自宅に求人情報が届くため、目に触れる機会が多いと言えます。
 

一方、「U・I・Jターン人材を求めている」場合は、求人サイト(WEB媒体)の方が、より大勢の求職者の目に止まることからメリットが多いといえます。

 

このように、ターゲット層に訴求できる母数が多いと思われる求人媒体を選ぶことで、採用したい人材に出会える確率を増やすことができます

 

また、近年では、求職者の90%以上がインターネットを利用して求人検索をしていると言われており、WEB媒体の求人広告を活用することで、より多くの応募者を獲得できる可能性があります

 

評価基準を明確にする

誰が面接官であっても、人材に対する評価が同じになるよう企業としての評価基準を明確にし、整えておくことが重要です。

 

また、評価をするためには積極的に候補者から話を聞き、持っているスキルや価値観、キャリアプランなどをしっかり確認し、判断材料をたくさん集めることが大切です。

 

そうすることで、マッチする人材獲得ができるチャンスを逃さずに、正確に候補者を見極めることができます。

 

面接時に正確な情報提供をする

面接時、企業は候補者に募集内容や条件などの情報を、正しく提供することが重要です。

 

自社が求めているスキルや人物像、実際の業務内容、給与や福利厚生面など、求人広告に記載してある内容でも、改めて候補者に説明することで、自社に対する安心感や信頼感をより抱いてもらいやすくなります

 

また、面接官によって、候補者への伝え方やコミュニケーションの取り方が異なり、候補者に与える印象が違ってきますので、その点を事前に社内で話し合っておくこともおすすめです。

 

さらに、より自社の正しいイメージを持ってもらい、入社後にギャップを感じさせるリスクを減らすためには、自社の良い面ばかりではなく、マイナス面も正直に伝えることが大切です。

 

そして仮に、求人広告で記載していた内容が面接の時点で変更となってしまっていた場合、企業は候補者にその旨をしっかりと明示する義務があります。

 

そのため、条件面で変更があった際には、出来る限り速やかな対応と候補者への丁寧な説明が必要です。

 

入社後のフォロー体制を整える

新入社員が社内の雰囲気に早く慣れるように、社内向けにコミュニケーション方法の教育や、新入社員をフォローする体制を整えておくことが大切です。

 

例えば、


・コミュニケーションの方法=「円滑なコミュニケーションとは?」などの説明会を実施する
・フォローする体制=「新入社員研修」を取り入れる


などが挙げられます。

上記のような施策があれば、新入社員が抱える不安やストレスをなるべく減らすことに繋がります。

 

また、実際に働くことで、イメージしていた社風や職場の雰囲気などにギャップを感じてしまう可能性もありますが、新入社員がミスマッチを感じ始めているときには放置せず、不安や不満を解消できるように話を聞く・解決策を考えるなど、しっかり向き合うことで早期離職を防ぐ可能性を高められます。

 

まとめ:アンマッチ・ミスマッチを減らした採用活動を!

改めて本記事をまとめます。

 

アンマッチとは「採用そのものが成立していない状態」のことを指し、ミスマッチとは「採用後にズレが生じている状態」のことを指します。

 

アンマッチ・ミスマッチが起きてしまう原因としては、

 

 ・募集要項が厳しすぎる

 ・求人広告の見栄え(文章構成)が良くない

 ・求人媒体が合っていない

 ・求人広告の掲載内容に情報不足や差異がある

 ・採用の評価基準があいまい

 ・面接段階で、自社の良い部分しか伝えていなかった

 ・入社後すぐのフォローが不十分

 

などがあげられ、そのようなアンマッチ・ミスマッチを防ぐためには、

 

 ・募集要項の見直し・市場情報の調査をする

 ・求人掲載内容の見直し

 ・自社の求める人物像から求人媒体を選ぶ

 ・評価基準を明確にする

 ・面接時に正確な情報提供をする

 ・入社後のフォロー体制を整える

 

などに取り組んでみると効果的です。

 

アンマッチが発生することで、企業は求める人材の確保ができず、採用コストだけがかかってしまう結果となり、また、せっかく人材を採用できたとしても、ミスマッチが起きることで早期離職に繋がってしまうなど、企業にとって大きなデメリットをもたらします。

 

そのため、アンマッチ・ミスマッチが起きている場合は、その理由を明確にすることが大切であり、それを少しでも解消することが、企業にとって安定的に人材を供給するために必要なことだといえます。

 

少し意識を変えることで、より良い採用を実現させる可能性が高まりますので、採用担当者の方はぜひ参考にしてみてください。