第二新卒を採用するメリット・デメリットは?押さえておくべきポイントも解説!
売り手市場が加速して、新卒採用が困難になっている企業が増えている中、近年では「第二新卒」に注目が集まっています。
第二新卒とは、一般的に「学校を卒業後、一度就職してから3年以内に離職した若年層」を指す言葉です。
この第二新卒と呼ばれる人材には、「就職経験があるため、教育に関する時間を短縮できる」というメリットがある一方で、「3年以内に離職した」という事実から第二新卒の採用に積極的になれない採用担当者の方は、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで本記事では、企業の採用担当者が知っておきたい第二新卒を採用する様々なメリットやデメリット、第二新卒の採用シーンで押さえておくべきポイントなどを詳しく解説します。
第二新卒の採用には、「教育コスト削減」や「通年採用が可能」などのメリットがあるため、若年層の人材獲得をお考えの採用担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 第二新卒とは?
- 【第二新卒と、新卒・経験者・キャリアの違い 】
- 第二新卒採用が注目される背景
- 第二新卒を採用する3つのメリット
- メリット①研修などの教育コストを削減できる
- メリット②企業のタイミングで通年採用できる
- メリット③柔軟性があり新しいことへの適応力が高い人材が多い
- 第二新卒採用のデメリット
- デメリット①前職を3年以内に辞めている事実がある
- デメリット②即戦力としては期待できない
- こんな企業には、第二新卒採用がおすすめ
- 第二新卒の採用方法
- 第二新卒の採用シーンで押さえておくべき3つのポイント
- ポイント①前職の入社理由と退社理由を確認する
- ポイント②自社への志望動機やキャリアパスを確認する
- ポイント③入社後の教育、モチベーション維持に重点を置く
- まとめ:第二新卒採用で教育コストを削減しつつ若手人材を確保しよう
第二新卒とは?
第二新卒とは、近年の採用市場においてよく使われる言葉ですが、その意味において明確な定義はありません。
一般的には、「学校を卒業後、一度就職してから3年以内に離職した若年層」を指し、4年制大学を卒業から考えると25歳ぐらいまでになりますが、企業によってその定義が異なる場合があります。
しかし、多くの企業の解釈に共通するのは、「就業経験がある、20代の若手」という点です。
参考として、厚生労働省の資料には、第二新卒の定義として、次のように記載されています。
第二新卒と似た言葉に「既卒」がありますが、既卒は卒業後さまざまな理由で一度も就職せずに、就職活動を続けている人材であるため、区分している企業もあります。
本記事における第二新卒者は、「一度は就職し、社会人経験がある20代の人材」とした上で話を進めていきます。
【第二新卒と、新卒・経験者・キャリアの違い 】
ここでは、第二新卒と、新卒・経験者・キャリアの違いについて解説します。
「新卒」とは、その年に学校を卒業・卒業見込みの学生のことを指す言葉です。
学校卒業と同時に初めて就職する人がほとんどで、企業としては人材を一から育て上げていくことになりますが、「自社の理念・文化を受け入れてもらいやすい」ことや「年齢が若い」などのメリットがあるため、長期的な雇用を目的とした採用が多いです。
「経験者」とは、就職経験があり、何らかの分野に対し実務経験を持つ人材のことを指す言葉です。
企業の成長に伴い、人材の増加や業務の負担分散などを目的とした採用が多いです。
なお、以前は「中途採用」と言われていましたが、2022年11月に日本経済団体連合会がその呼称を「経験者採用」に改める方針を示しました。
「キャリア」とは、特定の分野で豊富な経験や専門知識を持つ人材のことを指す言葉です。
自社と同じ職種の専門的な知識や技術を持つ人材など、即戦力確保を目的とした採用が多いです。
そのため、求人広告の募集要項には、「同職種の経験〇年以上必須」や「マネジメント業務に携わった事のある方」といったような、候補者の実務経験・スキルを条件としています。
一方で「第二新卒」は、短期間の就職経験があるものの、経験やスキルを保有しているケースはそう多くはありません。
そのため、就職経験の有無だけでみると第二新卒は経験者の一種だと考えられますが、「自社で人材を育てる」という観点から、「第二新卒」は、新卒と経験者の中間点に区分されている場合が多いです。
第二新卒採用が注目される背景
近年、第二新卒をターゲットにした採用を行っている企業が増えています。
第二新卒に注目が集まっている背景には、主に以下のようなことが考えられます。
< 新卒採用が難しくなっている >
第二新卒に注目が集まっている理由の一つとして、新卒採用での人材確保が困難になっていることがあげられます。
少子高齢化の影響や、採用市場が売り手市場ということもあり、企業が希望する人数を新卒採用で確保することは簡単ではありません。
また、企業の知名度や会社規模で就職先を選ぶ学生もいるため、人材は大企業に流れ、中小企業は人材確保に苦労する傾向があります。
そのため、新卒で入社してからそれほど時間が経過していない人材である「第二新卒」に注目が集まっています。
< 新卒の早期離職が増えている >
新卒の早期離職が増えていることも、第二新卒に注目が集まっている理由です。
厚生労働省の調査によると、新卒の就職3年以内の離職率は、「新規高卒就職者36.9%」「新規大卒就職者31.2%」となっています。(出典:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況を公表します)
これらからわかるように、新卒の約3人に1人は、入社3年以内に離職している状況です。
新卒の早期離職が増え、第二新卒の数が増加していることから、「第二新卒採用」は人材を確保できる有効な手段の一つであると言えます。
第二新卒を採用する3つのメリット
それでは、新卒採用や経験者採用、キャリア採用と比べて、第二新卒採用は企業側にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
3つのメリットをそれぞれ解説します。
メリット①研修などの教育コストを削減できる
第二新卒を採用するメリットの1つ目は、教育コストを削減できることがあげられます。
新卒採用であれば、基礎的なビジネスマナーや仕事の進め方といったことを教えるための研修を行うなど、さまざまな時間やコストがかかります。
しかし、第二新卒採用であれば、一度企業に入社して社会人の経験がある為、以前の就業先で研修や経験を積んで、社会人としての対応能力やビジネスマナーの基礎がある程度身に付いている場合が多いです。
そのため、基本的なビジネスマナーを改めて一から教える必要がなく、教育にかけるコスト(時間や研修費)を削減することが可能です。
メリット②企業のタイミングで通年採用できる
第二新卒を採用するメリットの2つ目は、企業のタイミングで通年採用できる点です。
最近は新卒採用でも秋採用を取り入れている企業もありますが、学生の卒業時期に合わせた4月入社が一般的です。
しかし、第二新卒採用であれば、採用活動を始める時期や採用後の入社時期を、企業のニーズに応じた時期で設定することができます。
そのため、「採用計画がスムーズにいかなかった」や「急な離職者が出た」などのタイミングで、状況に合わせた第二新卒採用の検討が可能です。
また、募集から内定までの選考プロセスも、応募から数週間で内定・入社とスピーディに採用できることもポイントです。
メリット③柔軟性があり新しいことへの適応力が高い人材が多い
第二新卒を採用するメリットの3つ目は、柔軟に物事を考えられる適応力の高さです。
経験者採用など、以前の勤続年数が長い場合、前職での慣習や考え方が当たり前となっていて、転職してもその考え方が抜けきらず、新たな仕事に馴染みにくく抵抗感を持ってしまうという懸念があります。
しかし、第二新卒採用であれば、以前の就業期間が3年未満と短いことから、前職の企業文化や環境などに大きな影響を受けていない状態だと考えられます。
そのため、入社しても企業風土や仕事の進め方に対する抵抗感を持つことなく、社内環境や文化にもしっかり馴染もうとする柔軟な姿勢で、新しいことに適応することが可能です。
第二新卒採用のデメリット
第二新卒を採用するメリットがある一方、デメリットも把握しておくことで、第二新卒を採用した後の受け入れなどがスムーズになります。
2つのデメリットをそれぞれ解説します。
デメリット①前職を3年以内に辞めている事実がある
第二新卒であるということは、つまり、前職を3年以内に辞めた経験を持つ人材であるということです。
そのことから、自社に入社した後も、早期離職を繰り返す可能性があることが課題になります。
しかし、第二新卒の退職理由はさまざまで、ネガティブな面やマイナスな気持ちで離職している人材ばかりではなく、新たなキャリアアップを求めて転職活動を行う人材も少なくありません。
そのため、第二新卒だからといって「すぐに辞めるなんて忍耐力がない」「またすぐに辞めてしてしまうんじゃないか」などと容易に判断するのではなく、企業の戦力となってくれる優秀な人材も多いことを鑑みた上で、人材の特性を見極めることが大切です。
人材を見極めるポイントについて詳しくは「第二新卒の採用シーンで押さえておくべき3つのポイント」で後述しますのでぜひ参考にしてみてください。
デメリット②即戦力としては期待できない
第二新卒は、社会人としての適応能力や基本的なビジネススキルは習得できている場合が多いですが、業務の面でいえば、即戦力となるほど経験や実績は多くなく、スキル不足であることが多いです。
その結果、第二新卒採用が経験者採用、キャリア採用と同様と思われてしまえば、入社後に「思っていたよりも活躍してくれない」といったマイナスな評価になりかねません。
そうならないためにも、第二新卒採用に期待することは、あくまでも将来性(ポテンシャル)と考え、過度に期待をせず、前職で身に付けているスキルをベースに自社で成長させていくことで、長期に活躍できる人材育成に繋がります。
また、前職が同職種だった場合、「スキルアップを目指したい」「キャリアの幅をもっと広げたい」といった明確な理由を持って離職している場合が多く、まだ十分な知識や経験がなくても、その仕事に対する熱意や意識の強さを評価することで、企業にとって優秀な人材の採用チャンスを逃すことがなくなります。
こんな企業には、第二新卒採用がおすすめ
ここでは、どのような企業に第二新卒採用がおすすめなのかを紹介したいと思います。
第二新卒採用がおすすめな企業は、「若年層の採用をしたいが、教育時間や教育に係る費用の予算が少ない」企業です。
厚生労働省の調査でも、「企業が感じている人材育成上の課題」として教育時間と教育費用予算が挙げられています。
通常業務が忙しく、新入社員の教育に充てられる社員がいないことや、新入社員研修などの教育を行う場合、準備や実施に多くの工数が必要であり、外部に委託するとなっても相当な費用がかかってしまうことを課題に感じている企業が多く存在します。
そこで、第二新卒採用であれば、以前の就職先で新入社員研修などを経験し、社会人としての適応能力やビジネスマナーの基礎がある程度身に付いているため、そのような基本的なビジネスマナーを改めて一から教える必要がなく、教育にかける時間を減らせることで教育コストを抑えることができます。
また、20代の若年層である第二新卒であれば、長期にわたっての雇用が見込まれるため、時間をかけた育成・教育プログラムを実施することが可能であり、将来的に企業の事業成長の中核を担う人材(ミドルクラス人材)への成長にも期待ができます。
第二新卒の採用方法
それでは、企業のニーズに合わせたタイミングで通年採用できる第二新卒を採用するためには、どのような方法があるのでしょうか。
< 新卒採用と同じ募集枠 >
厚生労働省の「青少年雇用機会確保指針」では、以下のように記されています。
(出典:厚生労働省|青少年雇用機会確保指針)
雇用対策法第7条および第9条に基づき、「新卒採用にあたっては少なくとも卒業後3年間は応募できるようにすること」が定められています。
そのため、新卒採用と同じ募集枠で、第二新卒のエントリーを受け付けることが可能です。
< 転職イベントの活用 >
転職イベントとは、転職を希望している人を対象に、各企業が合同で行う企業説明会です。
イベントごとに対象とする転職者や規模に違いがあるので、「第二新卒」に特化した転職イベントに参加すれば、1日でより多くの第二新卒者と出会う可能性が高まります。
また、転職イベントに参加することで、会場に訪れた求職者にダイレクトに自社の魅力や仕事のやりがいなどをアピールでき、興味関心を高められるなどのメリットがあります。
< リファラル採用の活用 >
リファラル(referral)には「紹介」や「推薦」という意味があり、自社で既に働いている社員の友人・知人を紹介してもらう方法です。
リファラル採用では、転職顕在層のみならず潜在層までアプローチできる可能性があり、自社に合う人材を見つける幅が広がります。
自社の企業文化や仕事内容と、友人知人の人物像の両方をよく理解している社員からの紹介であれば、ミスマッチが起こりにくいことや、自社の社員を通して募集をおこなうため、採用にかかるコストを最小限に抑えることがメリットとしてあげられます。
< 人材紹介(転職エージェント)の活用 >
人材紹介(転職エージェント)では、さまざまな転職サイトを介して募集を行うだけではなく、人材紹介会社同士が連携し、求職者を斡旋することも可能なため、自社で募集するよりも多くの母集団にアプローチすることが可能です。
また、人材紹介は成功報酬型が多く、「採用成功までは無料」というメリットがあります。
そのため、人材紹介は「確実に費用対効果のある採用手段を取りたい」とお考えの企業におすすめです。
第二新卒の採用シーンで押さえておくべき3つのポイント
ここまで、第二新卒の定義や、第二新卒を採用するメリット・デメリットなどを解説してきました。
それらを踏まえ、入社後、定着し活躍してもらえる人材を採用するために、採用シーンで押さえておくべき3つのポイントを紹介します。
それぞれ詳しく解説します。
ポイント①前職の入社理由と退社理由を確認する
第二新卒は先述した通り、「前職を3年以内に辞めている事実」を持ち、退職した理由は人によってさまざまですが、前職で何らかのミスマッチがあったということが想像できます。
そこで、第二新卒採用の面接では、「前職を選び、入社した理由」と「前職を退職した理由」をしっかりと確認することが重要です。
どこにギャップを感じたのか、改善・解決するための行動はしたのか、それについての自身の考え方など、ミスマッチの理由を理解することで、自社での早期離職のリスクや自社とのマッチ度をはかることができます。
ポイント②自社への志望動機やキャリアパスを確認する
前職の退社と同じ理由で自社でも退社してしまわないように、前職の退社理由と同様に「自社への志望動機」も重要であり、前職を辞めた理由と自社を選んだ理由が、しっかりと繋がっているかどうかをよく確認することがポイントです。
例えば、「自社への入社意欲の高さ」や「どのようなキャリアパスを持っているのか」などを面接でじっくり時間をかけて聞くことで、自社に定着し活躍できる人材かどうかを判断することができます。
また、「前職の経験で、学んだものや得られたものはあるか」や「どのような姿勢で業務に取り組んでいたか」など、仕事におけるスタンスも確認しておくと、自社での取り組み方や成長意識の高さを評価しやすくなります。
ポイント③入社後の教育、モチベーション維持に重点を置く
第二新卒は、就職経験はあるもののまだ十分な経験や知識がないため、場当たり的な指導方法では理解不足となってしまいモチベーションが維持できず、再び早期離職という事態になりかねません。
そこで、慣れない仕事や環境の変化で不安に陥り自信を無くしてしまうことがないように、具体的なスキルの有無を確認した上で、業務に必要なスキルを補えるサポート体制や実務指導を行うことが大切です。
また、指導役は新入社員と年齢が近い先輩社員が担い、実務指導を行いつつ生活や人間関係などの相談に乗ってあげられる体制を整えることで、スムーズに環境に馴染めるようになったり、気持ちの安定を図れるなどの効果があります。(ブラザーシスター制度)
まとめ:第二新卒採用で教育コストを削減しつつ若手人材を確保しよう
改めて本記事をまとめます。
第二新卒とは、一般的に「学校卒業後、一度就職してから3年以内で離職した若手層」を指します。
第二新卒採用をおこなうことで、
・研修などの教育コストを削減できる
・企業のタイミングで通年採用できる
・柔軟性があり新しいことへの適応力が高い人材が多い
という「企業側にとってのメリット」がある一方で、
・前職を3年以内に辞めている事実がある
・即戦力としては期待できない
などのデメリットがあります。
これらを踏まえて、人材育成・教育にかける時間や費用を抑えつつ、20代の若手人材を確保したい企業には「第二新卒採用がおすすめ」です。
その際に、押さえておくべきポイントは3つあります。
・前職の入社理由と退社理由を確認する
・自社への志望動機やキャリアパスを確認する
・入社後の教育、モチベーション維持に重点を置く
長期にわたっての雇用が見込まれる第二新卒採用であれば、将来的に企業の事業成長の中核を担う人材への成長にも期待ができますので、採用担当者の方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
なお、G&Gでは、人材紹介サービスもおこなっておりますので、自社に合う人材確保の採用活動に少しでもお役立ていただければ幸いです。