知らず知らずのうちに派遣法に違反!?実はそれって違法派遣「7選」
人材派遣会社や派遣先企業は、派遣労働者を守るために定められた「労働者派遣法」を遵守しなければなりません。
労働者派遣法は、法改正が頻繁におこなわれ、次々と新しい条文が追加されています。
労働者派遣法に違反した場合、罰則を科される恐れもあるため、常に正しい内容を理解し、社内で共有することが重要です。
そこで本記事では、労働者派遣法の違反となる行為や罰則について、知っておくべきポイントを紹介します。
「労働者派遣法に違反する行為とはなにか?」など、疑問を抱えている派遣先企業の方や受け入れを検討している企業の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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労働者派遣法とは?
労働者派遣法は、派遣社員の権利を保護するための法律で、1986年の施行以来、さまざまな改正がおこなわれ、現在は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」という正式名称のもと、派遣労働者の立場や権利を守るための法律となっています。
労働者派遣法により、派遣会社には雇用主として、派遣先企業には使用者として双方が遵守しなければならないことが多数決められています。
そのため、知らず知らずのうちに違法派遣とならないよう、十分に理解しておくことが重要です。
労働者派遣法の違反行為とは?
派遣雇用における禁止事項や契約違反について、以下の7つを紹介します。
(1)二重派遣
(2)抵触日を超えて従事させる(3年の期間制限を超える)
(3)派遣が禁止されている業務での受け入れ
(4)契約書に記載のない業務をさせる
(5)30日以内の「日雇い派遣」
(6)元従業員の1年以内の派遣受け入れ
(7)派遣労働者を特定する行為(面接など)
これらの違反行為について、後日、それぞれ詳しく解説した記事を公開いたします。
今回は、「知らず知らずの内に、このような違反行為をしてしまう恐れがある」という事を知っていただけたら幸いです。
(1)二重派遣
本来、派遣会社と派遣労働者が雇用契約を結び、労働者はその上で派遣先の企業で業務に就く決まりです。派遣先企業との間には雇用関係はありません。
しかし、派遣会社から派遣労働者を受け入れた企業が、別の会社に対して、その派遣労働者を送り込む行為を「二重派遣」といいます。
そして、知らず知らずの内にやってしまいがちなことが、
「自社で受け入れた派遣労働者を、自社の関連会社や子会社で働かせること」
これも、二重派遣に該当する可能性もあるため、非常に注意が必要です。
(2)抵触日を超えて従事させる(3年の期間制限を超える)
同じ派遣先企業の事業所で派遣労働者を受け入れられる期間は、原則として最大3年という制限があります。
したがって、3年の期間制限を超えて派遣労働者を従事させることはできません。
これは通称「3年ルール」と呼ばれており、「派遣労働者はあくまでも一時的な労働力の確保である」という考え方に基づいて設定されています。
また、期間制限の基準は2種類あり、
「同一事業所の同一部署における派遣労働者の受け入れ期間は最大3年まで」とする事業所単位と、
「同一事業所の同一部署で働けるのは最大3年まで」とする個人単位です。
ただし、この期間制限には例外が存在します。
◆事業所単位
期間制限日の1ヶ月前までに、事業所の過半数労働組合から意見聴取した場合には、更に最大で3年間延長して受け入れることができます。(その後さらに3年経過した場合も同様)
◆個人単位
以下の5つに該当する派遣労働者は例外となります。
・派遣元で無期雇用契約を結んでいる派遣労働者
・60歳以上の派遣労働者
・有期プロジェクトに従事する派遣労働者
・日数が限定されている業務に従事する派遣労働者
・出産・育児・介護等で休業する労働者の代替として従事する派遣労働者
(3)派遣が禁止されている業務での受け入れ
派遣労働者は全ての業務に就業可能ではありません。
労働者派遣法第4条で「派遣できない業務」が規定されており、これを「適用除外業務(派遣禁止業務)」といいます。
その「適用除外業務(派遣禁止業務)」は、以下の5つの業務が指定されています。
・港湾運送業務
・建設業務
・警備業務
・病院・診療所などにおける医療関連業務
・弁護士・社会保険労務士などの士業
また、ストライキや作業所の閉鎖、または争議行為が発生している事業所や、公衆衛生・公衆道徳上、有害な業務に付かせる目的での派遣も禁止されています。
ただし、上記の5つの適用除外業務の中でも、一部例外もあるので、後日公開する記事で改めて解説させていただきます。
(参考:厚生労働省|労働者派遣事業を行うことができない業務は)
(4)契約書に記載のない業務をさせる
派遣元企業と派遣先企業との間で交わされる労働者派遣個別契約書や、派遣会社と派遣労働者との間で交わされる雇用契約書の中には、「派遣労働者が従事する業務内容」を記載する必要があります。
そのため、派遣労働者にはこの契約書の中で定められている業務以外に従事させてはいけません。
このケースは、派遣労働者が労働基準監督署に相談される事で発覚するケースが多く、下記のような問題が例として挙げられます。
派遣先 :「派遣労働者が行う業務内容がどこからどこまでなのかを知らない」など
派遣元 :「派遣労働者が行っている業務の実態を把握してない」など
したがって、
派遣元である人材派遣会社には、「派遣労働者へ事前に業務内容や範囲の説明をすること」と「業務の実態を把握すること」が求められ、
派遣先企業は、「契約内容を把握し、契約業務外の作業を依頼してはいけないこと」と「それをあらかじめ社内に周知し、指揮命令者が適切な指示を出すよう管理を行う」必要があります。
(5)30日以内の「日雇い派遣」
「派遣切り」や「データ装備費問題」などが社会問題化され、その対策として2012年10月1日の法改正により、雇用期間が30日以内の雇用契約を結ぶのは「日雇い派遣」に該当し、労働者派遣法では原則禁止となりました。
ただし、日雇い派遣とは、派遣元と派遣労働者の間で交わされる『雇用期間』が対象となるので、派遣先企業に対して特に罰則等はありません。
しかし、派遣元からすると30日以内の「派遣契約」の締結は敬遠されることが多いため、派遣を利用される際には確認が必要です。
ちなみに、下記の要件を満たす場合は、日雇い派遣が例外として認められます。
・専門的な知識が必要な26業種(ソフトウェア開発、機械設計、研究開発など)
・60歳以上の人
・雇用保険の適用を受けない学生
・副業として日雇派遣に従事する生業収入が500万円以上の人
・世帯収入が500万円以上で主たる生計者でない人
(6)元従業員の1年以内の派遣受け入れ
離職から1年以内の元従業員を、派遣労働者として受け入れてはいけません。
なぜこのようなルールがあるのかというと、本来直接雇用として継続雇用するべき労働者を、派遣に切り替えて労働条件や待遇を不当に切り下げるといった行為に繋がる可能性があるためです。
(7)派遣労働者を特定する行為(面接など)
派遣労働者を事前に特定する行為は禁止されています。(紹介予定派遣の場合を除く)
派遣会社と派遣先企業との間で結ぶ派遣契約は、労務の提供を目的とした契約であり、特定の労働者を選ぶための契約ではないからです。
どの労働者を派遣するかは、派遣元がスキルや経験を考慮して決定します。
そのため、派遣労働者を受け入れる前に面接を行うこと、履歴書の送付を求めること、年齢や性別などで労働者の属性を絞り込むことなどはできません。
労働者派遣法に違反した場合の罰則は?
派遣先企業が労働者派遣法に違反した場合は、行政処分が下されます。(第四十九条の二)
違法行為に対して改善するように指導・助言がされ、その対応がなされない場合には、是正するよう勧告を受けます。
さらに、勧告にも従わない場合には、その旨を企業名とともに公表されますので、そうならないためにも、違法派遣となるポイントをしっかりと理解しておくことが重要です。
(参考:厚生労働省|違法行為による罰則、行政処分及び勧告・公表)
まとめ:労働者派遣法を遵守しながら人材を確保しよう!
改めて本記事をまとめます。
労働者派遣法で違反となる行為は、次のとおりです。
(1)二重派遣
(2)期間制限(3年ルール)
(3)派遣が禁止されている業務での受け入れ
(4)契約書に記載のない業務をさせる
(5)30日以内の「日雇い派遣」
(6)元従業員の1年以内の派遣受け入れ
(7)派遣労働者を特定する行為(面接など)
これらの違反行為について、後日、それぞれ詳しく解説した記事を公開いたします。
今回は、「知らず知らずの内に、このような違反行為をしてしまう恐れがある」という事を知っていただけたら幸いです。
労働者派遣法におけるルールを把握していないと、気づかないうちに違反してしまう可能性もあります。
ルールを守らないと派遣労働者が安心して働けず、さらには労働局から行政処分や罰則を科される可能性もあります。
そうならないためにも、違反派遣となるポイントをしっかりと理解した上で、派遣労働者の受け入れをおこないましょう。
しかし、これら全てのことを自社で理解し対応するのは難しく、不安な点も多いかと思います。
その場合は、派遣会社に相談し、適切なサポートを受けることをおすすめします。
また、労働者派遣法の違反トラブルに巻き込まれないためにも、コンプライアンス遵守している優良な派遣会社を選ぶことが大切です。
なお、G&Gでは、派遣労働者を守るために制定された労働者派遣法を理解するとともに、各種法令を遵守し、トラブルなく安全に人材派遣をおこなっております。
お見積の作成やご相談についても無料で承っております。
派遣労働者の受け入れに関してお困りの採用担当者の方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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